1.性を知的に扱う

性の快楽と味覚の快楽


 性に関することというと、なんでも閉ざされた世界で話し合われることが多いです。そういう話題を普通に出すと、あまり良い評価をしてはもらえません。性をする場所についてもほとんどの場合は、寝室か少なくとも人目につかない場所で行われます。また一人で部屋にこもってマスターベーションやイメージセックスをしている人もたくさんいて、やはり閉鎖的です。
 と、いうと何を当たり前のことを、といわれると思います。

 さて、同じ快楽なのに舌(味覚)の快楽については人は実に開放的に情報を交換し合っています。たとえば最近評判の料理店。まず場所そして雰囲気、色や形、サービスについて、あるいは、くつろがせてくれるかどうかなど、ことこまかに伝え合っています。

 セックスなどは当然、性欲からのものですが、これは食欲や、睡眠欲と並ぶもっとも基本的な本能に根ざしたものなのです。

 「性的なものは隠すもの」という固定観念だけで考えればそのとおりなのですが、良い悪いの問題はおいておいて、冷静に考えるとこの差は不思議だと思いませんか?

 飲食店情報やグルメ情報などは、容易にコミュニケーションの対象となりますし、料理番組はどのテレビ局でも安定した視聴率が取れるそうです。また、グルメ番組が高い視聴率を稼いでいることは皆さんもよく知っていることだと思います。

 でも、性の話はほとんど話題にされることがありません。ごく親しい友人同士の中など最低限の範囲内だけで、しかもときたまタイミングをはかって話し合われるくらいです。それですら、半分以上冗談交じりの話ばかりになってしまって、まじめにこのテーマで話そうというものではないことのほうが多いでしょう。また、残念なことに恋人や夫婦間でもこの問題については多くを語らない場合が多いようです。

 しかし、これは実は危険なことなのです。例えば、そういうことをしっかりと話し合ったり、考えたり、あるいは学んだりすることがないまま大人になると、自分勝手なセックスをしたがる男性に我慢するだけの女性や、奥さんのほうは嫌々セックスをする夫婦などもできてしまうからです。そして、こうしたことの方が多いといってもいいくらい、現実にはこうした悩みを持つ女性が多いのが事実です。

 これだけ大量の情報があふれている時代に、これほど意識的に隠された世界はないように思えます。皆がもっとよく知りたい、もっとよく知っておかなければならない分野がこのように隠された扱いをされてしまうのが当然だとすれば、不幸になる女性が増えるのは当然のことといえます。

 こうした考えにもとづいて、ここでは「なぜ性は隠されるのか?」「セックスの意味とは?」などを考えていった上で、「結婚」「恋人関係」「アブノーマルな(と、言われている)セックス」「同性愛」などにまで話を進めていきたいと思っています。

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